幹細胞移植で脳梗塞患者の神経機能を回復:先端医療センター

脳の血管に血栓が詰まり、そこから先に栄養や酸素が行き届かなくなった結果、脳細胞が壊死する脳梗塞。言語障害、視野障害、体の麻痺など、発生部位によって様々な症状が現われるこの病気で亡くなる方は年間約7万人とされおり、高齢社会で高血圧や糖尿病、動脈硬化等の危険因子を抱えた人が年々増加しているため、死亡者数は今後も増加すると考えられています。

そんななか、兵庫県神戸市の先端医療センター病院では、脳梗塞の発症直後の重症患者を対象に、患者本人の骨髄から採取した幹細胞を注射し、患部周辺の血管を再生して障害を受けた神経機能を回復させる臨床研究をスタートさせました。

研究チームは、脳梗塞の発症直後、神経細胞のもとになる神経幹細胞が患部周辺へ集まって神経を再生しようとする点に注目。動物実験では、血管の再生により神経幹細胞に栄養などが供給でき、失われた神経機能が改善されることを証明しました。

ヒトを対象とした臨床研究では、2009年に世界に先駆けて国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)で実施、現在まで8例を実施し、半年後には6例が歩行できるまでに改善したほか、脳の血流量が増加するなどの効果が見られました。

対象となるのは、心臓でできた血栓が血流で脳に運ばれて詰まったタイプの脳梗塞を発症した20〜75歳の患者となっています。また他の治療法では改善が見られないなどの条件もあり、発症後10日以内に幹細胞を移植します。同治療法を受けられるのは隣接する神戸市立医療センター中央市民病院国立循環器病研究センターの患者がメインとなりますが、他病院の患者についての相談にも応じるとしています。

脳梗塞は発症3時間以内ならば、血栓を溶かす作用のある「tPA」が特効薬となりますが、重篤な脳内出血のリスクもあることから専門医を揃えた医療機関でないと対応が難しかったり、発症から時間が経過して神経障害が起きた後の治療法は確立されていないなどの問題がありました。

同センターの田口明彦再生医療研究部長は「効率よく幹細胞の分離できる機器や、幹細胞と同様の作用を持つ新薬の開発も進め、脳梗塞による寝たきりの患者さんを減らしたいと」と語っておられます。

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