厚生労働省は9日、末期がんなど治る見込みのない終末期の患者に対し、医師が延命治療を中止するプロセス(過程)を明示した指針をまとめた。
指針案を議論してきた有識者による検討会が同日、ほぼ原案通り了承したもので、終末期医療に関する国の指針は初めて。懸案の医師の免責基準は盛り込まれていない。同省は、若干の文言を修正した上で、この指針とその説明を加えた解説編を全国の医療機関に周知する。
指針は、終末期医療の進め方として、医師の独断を避けるため、医師らによる十分な説明と患者の意思決定を基本とすることが最も重要な原則と位置づけた。その上で、治療開始や中止について患者の意思決定を踏まえて、医療チームで慎重に判断するよう求めた。
治療方針の決定は、患者の〈1〉意思が確認できる場合〈2〉意思が確認できない場合――の2通りに分け、〈1〉では患者の意思を基に医療チームが決め、その合意内容を文書に残すこととした。合意した内容が、時間経過などで変化することもあるので、患者に再確認することが必要と明記した。
〈2〉の場合、医療チームが慎重に判断するが、家族が患者の意思を推定できる場合は、その推定意思を尊重し、できない場合は、何が最善の治療方針かを医療チームが家族との話し合いで決めるとした。〈1〉、〈2〉のそれぞれで合意できない場合は、医療チームとは別に設置された、複数の専門家による委員会が、検討・助言する。
今回の指針は、延命治療中止の手続きを明示しただけで、延命中止の判断の根拠となる患者の状態「終末期」の定義や、具体的な治療中止項目などは含まれていない。このため、指針に注釈をつけた「解説編」を添え、医療現場で混乱が予想される終末期の判断などを医療チームで行うことなどを強調した。
今回の指針では、医師が殺人罪で刑事訴追されない基準には触れず、解説編に「引き続き検討していく」との文言が盛り込まれた。厚労省は、今年度、新たに終末期医療に関する調査検討会を設置し、刑事訴追をめぐる問題も話し合う方針だ。
指針は、昨年3月に発覚した富山射水市民病院で入院患者7人が人工呼吸器を取り外され、死亡した問題をきっかけに作成された。昨年9月の指針案に盛り込まれた、筋弛緩(しかん)剤の投与などで患者を死なせる「積極的安楽死」について、「医療としては認められない」とした文言は、削除された。
