ピロリ菌が胃の粘膜を破壊する仕組み解明:北大研究所

胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因とみられている細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃の粘膜を破壊する仕組みを、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らのグループが突き止めた。
17日発行の英科学誌ネイチャーに発表される。

ピロリ菌は胃の粘膜をつくる上皮細胞にくっつくと、CagAというたんぱく質を細胞の中に打ち込んで粘膜を破壊することが知られている。畠山さんらは培養できるイヌの上皮細胞を使い、CagAが粘膜を破壊する仕組みを詳しく調べた。

それによると、CagAはまず、隣り合う上皮細胞同士を固く結びつけている「装置」を作る酵素(PAR1)と結び付くことがわかった。CagAが結合するとPAR1の働きが鈍り、装置が破壊されて、正常な粘膜組織が維持できなくなっていた。

畠山さんらは今回の研究に先立ち、CagAが細胞の増殖を促すたんぱく質(SHP2)を活性化させてがん化を促進するらしいことも明らかにしており、(1)CagAとPAR1が結合して胃粘膜を破壊(2)結合したCagAがSHP2を活性化させてがんを起こす、との2段階を考えている。

日本人はざっと2人に1人がピロリ菌に感染しており、胃がんのほとんどが感染者で起きていることもわかってきた。抗生物質による除菌が健康保険でできるが、うまくいかない人もいる。「今の抗生物質では除菌できない耐性ピロリ菌が20%を超える。CagAがPAR1と結合できなくする薬ができれば、胃がんなどを大幅に減らすことができるかもしれない」と畠山さんはいう。(asahi.com)

ヘリコバクター・ピロリ
ヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌です。一般的には、ピロリ菌とも呼ばれることの方が多いようです。
胃の内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていましたが、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。
このとき生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって胃へ定着(感染)しています。この菌の発見により動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされました。

ヘリコバクター・ピロリの感染は、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のみならず、胃癌やMALTリンパ腫などの発生につながることが報告されています。
現在のところ、細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因となりうることが明らかになっている唯一の病原体です。

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