ピロリ菌の増殖を抑制する体内物質を人工合成:理化学研究所

胃かいようや胃がんの原因とされる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」の増殖を抑制するヒトの体内物質を、理化学研究所の研究チームが人工合成することに成功した。
大量生産が可能となったことで、ピロリ菌を除去する薬剤の開発や、増殖を抑制するメカニズムの解明につながるという。米化学会誌「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー」(電子版)に近く掲載される。

ピロリ菌はヒトの胃の粘膜表面にすみ着くが、粘膜の深部にはいない。深部粘膜から、たんぱく質と結合した形で分泌される糖鎖と呼ばれる化合物に、ピロリ菌の増殖を抑制する作用があるためとされている。

しかし、この糖鎖は粘膜にごく微量しか存在せず、研究に必要な量を抽出することができなかった。また、分子が巨大で立体構造が複雑なため、人工合成も難しかった。

研究チームは、糖鎖の原料となる新たな化合物を独自に開発した。この化合物を使って化学反応を起こしたところ、目的とした糖鎖を効率よく合成することに成功した。

研究チームの真鍋史乃・理研専任研究員は「ピロリ菌の除菌には抗生物質が使われるが、有用な細菌も殺してしまうし、失敗例も1〜2割ある。この糖鎖はピロリ菌以外には作用しないと考えられ、医薬品として有効だろう」と話している。(毎日新聞)

ピロリ菌とは?
正式な名前をヘリコバクター・ピロリといいます。螺旋状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。胃の中に入ってきた細菌は通常、胃酸によって殺されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れているのです。

ピロリ菌は胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になるのではないかといわれています。ただし、ピロリ菌が陽性でも潰瘍が起こらない人、陰性でも潰瘍を起こす人がいて、ピロリ菌だけが原因とはいえません。他の因子(ストレス、食生活、体質、喫煙など)も関係していると考えられています。

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