女性の乳房は非対称的なのが普通で、左右の大きさが全く同じという女性はほとんどいない。しかし今回、乳房の左右差が大きいほど乳がん発症のリスクが高いことを示す研究結果が、医学誌「BreastCancerResearch」第2号に掲載された。
英リバプール大学保健科学部のDiane Scutt博士らのグループは1979〜86年に乳がんを診断するマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)検査を受けた12,942人を追跡調査。
検診時は「異常なし」だったが、その後に乳がんと診断された37〜77歳の252人について、画像データから左右の乳房の体積差を算出した。
乳がんになった人は、検査時の左右の乳房の体積差は63ml前後だったのに対し、ならなかった人は 53ml前後と、乳がんになった人の体積差の方が大きかった。体積差が100mlあると、発症の危険度は体積差のない人の1.5倍だった。
乳房の左右差によりリスクが高くなる理由は不明だが、左右差の少ない女性は、思春期に乳房が急速に発達する際に生じる「破壊的な」ホルモン増減に対し、高い耐性をもつことが考えられる。乳房組織のエストロゲン(女性ホルモン)への曝露は癌の危険因子(リスクファクター)の一つであることがわかっており、乳房の成長にエストロゲンが重要な役割を果たすこともよく知られている。
Diane Scutt博士は「(乳がんの見落としを防ぐため)体積差測定が新たな検診項目になる可能性がある」としている。
米St. Luke's-Roosevelt総合乳腺センターのPaul Ian Tartter博士は、100mlというのは大さじ約7杯分で、この程度の差は乳房の大きさによっては気付かないこともあると指摘。
また、乳房が大きいほどエストロゲンへの曝露が多く、乳がんリスクが高いという予測に反している点など、この研究については疑問も多いという。
Tartter氏は、将来の研究で同じ結果が出ない限り、女性たちが不安になる必要はなく、また、仮にリスクの存在が明らかになったとしても「(乳房の左右差の大きい)女性に何かできることがあるわけでもない」と述べている。(HealthDay News)
乳がんについて
乳汁を分泌する乳腺小葉上皮、あるいは乳管までの通り道である乳管の上皮が悪性化したものであり、近年の日本人女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高いものとなっています。
乳がんは、小葉由来の小葉がんと乳管由来の乳管がんとに大別されます。
乳管内、あるいは小葉内にとどまっていて血管やリンパ管に浸潤していないものを、非浸潤がんといいます。
非浸潤性乳管がんは比較的少数です。欧米では非浸潤性小葉がんは悪性疾患としては扱われず、経過観察が原則になっています。浸潤がんは血管やリンパ管から全身への血流にのり、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などに転移します。
