前立腺がんの早期発見に有効として急速に広がる血液検査「PSA検査」について、厚生労働省研究班(主任研究者・浜島ちさと国立がんセンター室長)は、「現時点で、集団検診として実施することは勧められない」とする初の指針案をまとめた。
検診での早期発見による死亡率の減少効果が不明な上、精密検査などによる合併症などのマイナス面が無視できないためで、今後、PSA検査を集団検診事業として実施している全国7割の市町村は、事業の存廃を含めた対応を迫られそうだ。
がんの集団検診の最大の目的は、検査を受けた集団のがん死亡率を下げることにある。通常、検診は早期発見に有効で、早期にがんが見つかれば、死亡率は下がるとされる。
しかし、前立腺がんでは、進行の遅いがんが多く、PSA検診で、自覚症状のない男性のがんを早期に発見しても、死亡率が下がるかは不明だった。そのため、研究班は、国内外のPSA検診の有効性を調べるため約2000本に上る研究論文を検証した。
その結果、大半の論文では死亡率の減少が証明されず、減少したとする研究も信頼性が低いと評価した。そのため研究班は、PSA検診の有効性の証明は、「現状では不十分」と判定した。
また検診で発見したがんの27〜84%が、治療の必要のないがんの疑いがあり、精密検査に伴う合併症も、他のがん検診に比べて高いと指摘。治療による性機能の低下、尿もれなども報告され、集団検診として「推奨しない」と結論づけた。
指針案に対し、PSA検診を推奨する日本泌尿器科学会(奥山明彦理事長)は「多くの発見すべきがんが見逃されているのが現状で、甘受できない」とする見解を公表、指針案に反発している。(YOMIURI ONLINE)
前立腺がんについて
前立腺がんは、欧米ではとても頻度の高いがんです。日本でも増加傾向にあり、今後、食生活の欧米化や人口の高齢化を考えると、さらに増えていくと思われます。
50歳以降から加齢とともに増加する、男性の高齢者のがんといえます。
前立腺がんは、初期では無症状のことも少なくありません。進行すると、尿路通過障害として排尿困難や頻尿、残尿管などが現れます。
膀胱や尿道まで浸潤すると、排尿痛や血尿が出ることがあります。
前立腺がんの診断には触診(直腸内指診)が重要で、肛門から指を挿入して病変の有無を確認することができます。腫瘍マーカーは前立腺特異抗原であるPSAやPAPが使用されていて、診断や治療効果の判定に重視されています。
これらの初期診断でがんが疑われたら、前立腺超音波や膀胱尿道造影を行ないます。
似たような症状を示す前立腺肥大症や前立腺炎との鑑別が大切で、診断が難しい場合には、超音波で病変を確認しながら細胞を採取して、病理検査を行ない診断を確定させます。
