ヒトの皮膚から万能細胞:病気の原因解明や新薬開発研究に期待

人の皮膚細胞に遺伝子操作を加え、万能性を持つ胚性幹細胞(ES細胞)のように、さまざまな細胞に成長できる人工幹細胞をつくることに、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らと米ウィスコンシン大のチームがそれぞれ成功し、21日付で発表した。山中教授らの研究は米医学誌セルに、ウィスコンシン大は米科学誌サイエンスに、それぞれ論文が掲載される。

ES細胞と違い、作製に人の受精卵や卵子が不要なため、倫理問題を回避できるのが最大の利点。患者の治療に使うにはまだ安全面の課題が残るが、病気の原因解明や新薬開発などの研究には早期に利用可能とみられ、再生医学研究を加速させる画期的成果だ。

山中教授らは、大人の皮膚細胞に特殊なウイルスを使って4種類の遺伝子を組み込んで培養。未分化な性質を保ったまま増殖し、多くの種類の細胞に成長できるなど、ES細胞と似た性質の幹細胞をつくった。ウィスコンシン大は胎児と新生児の皮膚細胞に、うち2つは山中教授らと異なる4種類の遺伝子をウイルスで組み込み、同様の幹細胞を得た。

人工幹細胞は、最終的には患者に拒絶反応なく移植できる治療用の細胞としての利用が期待されるが、両チームとも有害性が否定できないウイルスを使っており、改善が必要。
さらに山中教授らの4遺伝子の1つはがん遺伝子で、ウィスコンシン大は胎児、新生児の細胞でしか成功しておらず、一長一短がある。

ES細胞とは?
生体の組織や臓器の元となる細胞のこと。幹細胞、または胚性幹細胞ともいいます。
受精卵が細胞分裂を繰り返し、ある程度の細胞塊になった頃に取り出して培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持ったES細胞を得ることができます。

別の胚に混ぜて培養させると生体の組織や器官を人為的に作り出すことができるため、神経細胞や血液細胞の再生医療の技術として、難病治療への応用が期待されています。
1998年11月、アメリカのトムソン博士によって、ヒトのES細胞の培養が世界ではじめて成功しました。

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