乳歯で再生治療:名古屋大学が乳歯幹細胞研究バンクを設立

名古屋大は、子どもの乳歯からさまざまな細胞に分化する幹細胞を取り出し細胞治療や再生医療に生かす研究を目的とした「乳歯幹細胞研究バンク」を同大医学系研究科内に設立した。
乳歯は採集が容易で、幹細胞としては細胞密度が高く増殖能力が高いことから、白血病治療の骨髄、臍帯血バンクに代わる新たな細胞バンクとして期待される。

同大医学系研究科の上田実教授らは2003年、人の永久歯から歯の元となる組織「歯髄」を採取し、その中からさまざまな器官に成長する能力を持つ幹細胞を取り出すことに成功。その後の研究により、乳歯が永久歯よりも幹細胞が増殖しやすいことが分かった。

乳歯幹細胞研究バンクでは、一般歯科医院や歯学部付属病院から提供を受けた乳歯の歯髄から幹細胞を分離し、超低温で保存。細胞治療や再生医療に役立つ基礎研究を行う。
抜けた乳歯は牛乳につけて冷蔵保存し、48時間以内にバンクに持ち込めば細胞が死滅することなく使用できるという。

白血病治療では骨髄や臍帯血の幹細胞の利用が知られているが、これらの採集は提供者の負担も大きく十分な量が集まっていないのが現状。また、万能の再生治療が期待されるES細胞(胚=はい=性幹細胞)技術も倫理上の問題がある。抜けた乳歯なら提供者の負担もない。 (中日新聞)

白血病について
骨髄や脾臓など血液をつくる器官で、未熟な白血球系細胞が無制限に増殖し、正常な白血球の増殖を阻害するもので、造血気のがんといえる病気です。

白血病では、肝臓、脾臓、リンパ節、腎臓、脳など全身の臓器に白血病細胞が増殖します。病気自体は少ないものの、発症すると出血や細菌感染が起こり、生命の危機に陥ります。

白血病は増殖する細胞の種類や進行状態で急性と慢性に分かれるほか、異常の発生部位によって骨髄性とリンパ性に分かれます。成人の急性の8割と慢性のほとんどが骨髄性ですが、小児では急性のリンパ性が主となります。