猫のがん:血液中の腫瘍マーカー検査で早期発見へ

猫のがんの早期発見に向け、血液中の腫瘍マーカーを調べる検査を大橋文人大阪府立大教授(獣医外科学)と動物の医療検査業、日本ペットライフ(大阪府箕面市)が開発、五月にも実用化する。
部位にかかわらず、がんがあれば把握でき、高齢化するペットの健康管理に役立つのではないか、としている。

大橋教授によると、腫瘍マーカーは、がんになると増えるTSGFという物質。中国で人間用に使われているのを応用した。猫の血液を二cc採取し、血清中の量を試薬で調べる。診断の基準値設定のため昨年から試験を進め、二百例以上で検証した。

日本ペットライフは、動物病院などからの検査依頼を受ける体制を整備する。

がんになった猫は通常、がんを切除する手術や薬による治療をするが、これまでがんを発見する有効な検査方法がなかった。人間と同様に早期発見が重要だという。

この腫瘍マーカーは既に犬について実用化されており、がんの八割以上は発見できるという。
大橋教授は「ペットも寿命が延び、人間と同じように生活習慣病などの老年性疾患、がんが増えている。
これまでがんの早期発見ができなかったが、この方法を使うと猫のがん医療は大きく進むのではないか」と話している。

医療施設の院内感染対策:重要度でランク付け

医療施設の院内感染対策について、厚生労働省の研究班(分担研究者、武澤純・名古屋大教授)が、科学的根拠に基づく統一手順書を作った。各項目を重要度に応じてランク付けした。
今春改正された医療法は、無床診療所や助産所などにも院内感染症対策を求めており、小規模な医療施設でも重要度に従って対応できる目安ができた。今月中に各都道府県や関係機関に配布する。

国内外の研究論文をもとに信頼性を検証、重要度の高い順に「1」〜「3」の3段階に格付けした。
「1」は比較対照試験などで実証されたもの。「2」は、比較対照試験ではないが、集団を対象に研究した結果、証明されていることが前提。「3」は科学的に立証されてはいないが、専門家が取り組むべき対策として意見を述べているもの。さらに「すべきである(A)」「できればする方がよい(B)」「任意でよい(C)」とも区分けした。

接触感染予防では、「病室に入室する時に手指を消毒して手袋を装着し、退室時にふたたび消毒する」が「1A」。「病室内のカーテンは患者ごとに交換する」は「3B」。「入院中に不必要な尿量測定をしない」は「3」だが、Aランクとしている。

また、患者の身体をふくタオルは「使用後にその日のうちに洗濯し、乾燥させる方が良い」が「3B」。これらは科学的な証明が難しいが、やった方が良いと判断した。

今春施行の改正医療法で、医療機関に求められる安全対策に院内感染対策が明確に位置づけられ、助産所や歯科診療所を含む全医療施設が対象になった。(Yahoo! ニュース)

体外受精による妊娠:胎盤、臍帯異常が大幅増

体外受精による妊娠は、胎盤や臍帯に異常が発生する頻度が自然妊娠を大幅に上回るとの調査結果を、聖路加国際病院(東京)の酒見智子医師らがまとめた。京都市で開催中の日本産科婦人科学会で16日、発表する。

それによると、胎盤が子宮から早くはがれてしまい、胎児に危険が大きい「胎盤早期はく離」は自然妊娠の約5倍。酒見医師は「体外受精をするカップルに、こうしたリスクがあることを知らせるべきだ。医師も経過を慎重に観察する必要がある」としている。

調査は、同病院で2003年8月から06年3月に出産した、自然妊娠の2454人(妊婦は平均約33歳)と、体外受精による妊娠195人(同約38歳)が対象。同病院での体外受精は40人で、残りは外部での実施だった。

胎盤早期はく離は自然妊娠の0・53%に対し体外受精では2・56%。通常は子宮の上部にある胎盤が下の方にできてしまう「前置胎盤」は、同0・57%に対し5・64%。へその緒が胎盤ではなく、卵膜につく「臍帯卵膜付着」という異常は、0・53%に対し5・67%だった。(四国新聞)

体外受精
卵巣から取り出した卵子と、精子を体外で受精させる生殖医療の手法。卵管の機能上の問題や精子の運動性の問題がある時などに使われる。微細な管で卵子に精子を注入する顕微授精は体外受精の一種。
国内で体外受精によって生まれた子供は10万人を超え、生殖医療の現場では一般的な技術になっている。

新型の老人保健施設は終末期も対応へ:厚生労働省

厚生労働省は14日、慢性疾患を抱えるお年寄り向けの療養病床を減らすため、療養病床から老人保健施設に転換した場合、終末期のお年寄りのみとりや夜間看護などを充実させた新しいタイプの老健施設とすることを認める方針を固めた。
削減で療養病床に入れなくなるお年寄りの受け皿とし、転換を促す狙いがある。09年の介護報酬改定で、療養病床から新型の老健施設に移行した施設への報酬を手厚くする。

厚労相の諮問機関である「介護施設等の在り方に関する委員会」で検討し、6月をめどに具体的な対応をまとめる。

療養病床には現在、医療保険を使って入院するベッド25万床と、介護保険を使う12万床がある。だが、療養病床の患者の半数は「医師の対応がほとんど必要ない」とされる。こうした社会的入院を解消し、医療費を抑えるため、厚労省は療養病床を12年度末までに15万床超に減らす方針だ。

療養病床に入れないお年寄りは、老健施設や有料老人ホーム、自宅療養に移ることを想定している。しかし現実には、病状が安定していても、チューブによる栄養補給や、機械でのたんの吸引が必要な患者もいる。
退院後に自宅へ戻るまでのリハビリなどを行ってきた現在の老健施設では受け入れが難しい場合があり、どの施設も受け入れてくれない「介護難民」が発生する恐れがある。

療養病床を抱える医療機関の多くも、必要な医療を提供できなくなるなどとして老健施設への転換に難色を示している。厚労省は、療養病床で提供している比較的軽度な医療行為を、療養病床から転換した後の老健施設でも対応できるようにすることで、療養病床の削減を進めたい考えだ。

また、現行の老健施設では「入所者100人につき看護師・准看護師9人」としている基準よりも看護師を多く配置。日常の看護や終末期のみとり、身体機能を維持するためのリハビリを充実させる。

従来の老健施設に対する介護報酬とは別に、療養病床から新型の老健施設に転換したところに限り、介護報酬を上乗せする方針。みとりやリハビリの看護を提供した場合は、さらに加算することも検討する。

これまでの老健施設は病院と自宅との「橋渡し」が中心で、施設で死を迎える人は入居者の2%にとどまる。自宅で亡くなるまで過ごすのが難しいお年寄りも多いため、新型老健施設では、長期的なケアや終末期医療にも対応できる「ついのすみか」の面ももたせる。(asahi.com)

老人保健施設とは?
退院した高齢者などが入居し、自宅に戻れるようにリハビリする施設。全国に約3100カ所あり、約29万人が入居している。
病院と家庭を橋渡しする「中間施設」と位置づけられているが、実際に自宅に戻るのは約4割。そのほかは病院や診療所に戻るなどしている。

関連ニュース:療養病床の削減問題:15万超は存続 厚生労働省

がん、ALSなど疾病ごとに延命中止基準:日本尊厳死協会

「尊厳死」の法制化を目指す日本尊厳死協会の研究班は14日、がんなど疾病ごとに延命治療(措置)中止の判断基準となる「末期(終末期)」の定義などを挙げた独自の報告書をまとめた。

手続きを重視した厚生労働省の終末期医療の指針より踏み込んだ内容で、今後の法制化を巡る議論などのたたき台になるが、すでに患者団体から死を誘導しかねないと反論が出ている。

報告書は、尊厳死を迎えるための医学的条件などを提示した。まず「総論」で、厚労省指針で触れていない「末期」や「不治」の定義、延命治療を中止する条件を掲げた。その上で、各論として、「がん」「呼吸不全・心不全・腎不全」「持続的植物状態」、全身の筋肉が動かなくなる「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の延命治療が議論となる代表的な疾患に、「高齢者」「救急医療」を加えた計6パターンについて治療中止の条件などを記載。

総論の定義では、末期を「不治(と判定された)時から死までの時期」とし、「不治」を「あらゆる治療行為に効果が期待できず、死への進行が止められなくなった状態」とした。

さらに、治療の中止条件として、〈1〉患者に延命治療を中止する意思がある〈2〉複数の医師の意見が一致している〈3〉尊厳ある生の確保と苦痛の除去を目的とする――の3点を明記した。

各論では、「がん」の末期を「治療の効果がなくなり、ケアが中心となった時期から死に至るまでの期間」と定義。その末期の治療で有害な反応が出た場合などに、中止や差し控えできる行為として「栄養・水分の補給」「人工呼吸器の装着」などを挙げた。

ALS患者では、「患者本人が、明確な意思表示を繰り返した」「無呼吸テストで自発呼吸がない」ことなどを、人工呼吸器を取り外せる条件とした。ALSの末期の定義は人工呼吸器でしか生存できない状態としたが、専門家の間でも議論が分かれており、最終的には「患者自身が判断すべき問題だ」とした。

こうした内容に、川口有美子・日本ALS協会理事は、「一見、患者の自己決定を基本としているが、周囲が患者(の死)を誘導する可能性もあり、危険な内容だ」と批判する。(YOMIURI ONLINE)

国が示した指針は?
厚生労働省は、延命治療の開始や変更・中止などは「患者本人による決定を基本とすることが最も重要な原則」で、医療従事者と患者が話し合って合意した内容を文書に残すと定めています。
また、治療中止などは、担当医のほか看護師やソーシャルワーカーなど「多専門職種」からなる医療チームが慎重に判断するとしています。

患者の意思が確認できない場合は、家族と医療チームが患者にとって最善な方法を話し合うと規定。患者と家族、医療チームが合意できない場合は、複数の専門職で組織された院内の委員会が助言し、合意形成に努めるよう求めています。

乳がん検診:エックス線+超音波の有効性を調査へ

厚生労働省は、早期発見による乳がん死亡率の低減を目指し、エックス線と超音波を組み合わせた検診システムの有効性を検証することを決めた。
40歳代女性12万人を対象に、エックス線単独の検診と併用検診を比較、受診者を追跡調査して総合評価を行う。検証期間は今年度から4年間。効果が実証されれば、現場への導入推進を検討する。

厚労省によると、国内では年約3万7000人(2000年)の女性が乳がんを発症、乳がんで亡くなる人は年1万人を超える。

乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)は、視触診だけの検診よりも、早期の小さながんを見つけることができるとされ、厚労省の検討会は2004年に、エックス線の利用を勧める指針を示した。

しかし、エックス線は、乳房に乳汁を作る組織の詰まっている40歳代女性の場合だと、がんを見落とすケースが少なくなく、エックス線検診が死亡率の減少につながるかどうか、疑問視する声もある。

一方、超音波検査は、40歳代の女性でもがんを発見する能力が高いとされ、都市部の検診機関などで導入する動きが目立っているが、有効性を裏付けるデータが十分でない。

厚労省の計画では、対象者を6万人ずつ、エックス線検診のみと、エックス線と超音波検査を両方受診する2組に分ける。乳がんの罹患(りかん)率、死亡率、その他の病気による死亡率なども調査し、有効性を評価する。厚労省は、併用検診により、受診者の乳がん死亡率が3割減少する可能性もあるとみている。

検診法の違いによる比較だけでなく、乳がんの家族歴、本人の既往歴などの要因別にも、乳がん発見率やがんの進行度などを比較し、最適な検査方法を突き止める。研究リーダーは、東北大大学院の大内憲明教授が務める。(YOMIURI ONLINE)

マンモグラフィーとは?
乳房専用のX線撮影検査。乳房部の腫瘍、およびガン細胞周辺の石灰化を検出する最も有力な撮影方法。乳房をアクリル圧迫板の間に挟み込み、厚さを均一にして撮影することで、内部の状態をわかりやすくし、放射線被曝量を抑えることができる。
検診の場合、撮影は左右各1〜2枚ずつ。視触診、超音波検査などと併用する場合もある。被爆量はごくわずかだが、妊婦の受診は推奨されていない。
撮影および解析には技術力が必要なため、マンモグラフィ検査制度管理中央委員会による資格制度も確立されている。

がん予防遺伝子をアブラナ科の野菜に発見:理化学研究所

理化学研究所(埼玉県和光市)は、がん予防成分をアブラナ科野菜に作らせる遺伝子を、世界で初めて発見したと発表した。アブラナ科の野菜・シロイヌナズナの全遺伝子のうち、「PMG1」と呼ばれる遺伝子が、がん予防成分の元になる「グルコシノレート」という物質の合成をコントロールすることを解明。
ブロッコリーなどに応用することで、グルコシノレートの含有量を多くし、がん予防効果の高い機能性野菜の開発に利用できるとしている。

グルコシノレートは、ブロッコリーやキャベツ、ダイコンなどアブラナ科植物に含まれる成分。すりおろしたりかんだりすることで分解酵素と混じり合い、イソチオシアネートと呼ぶ辛み成分に変化する。

イソチオシアネートの一種、スルフォラファンには、発がん物質を解毒する酵素の活性を高める作用がある。その元になるグルコシノレートの合成が植物細胞内でどのように行われているのか、これまで分かっていなかった。

同研究所・植物科学研究センターの平井優美研究員らは、シロイヌナズナの全遺伝子2万7000の中から、グルコシノレート合成酵素を作る遺伝子と同じパターンを持つ、PMG1遺伝子を見つけ出した。PMG1の働きを抑制したり、逆に強めたりしたシロイヌナズナを詳細に解析した結果、PMG1がグルコシノレート合成を制御する遺伝子であることが明らかになった。

PMG1の発現量は、シロイヌナズナを栽培する時に与える栄養分の量によって変化することが分かっている。同研究所は「栽培条件とPMG1発現量との関係を明らかにすることで、グルコシノレートの生産をコントロールできるようになる」としている。

病院と開業医の役割分担を明示へ:厚生労働省

厚生労働省は13日、今後の医療政策の方向性として、大病院や専門病院は一般的な診察はせずに入院と専門的な外来に特化する一方、開業医に対しては休日・夜間の診療や患者の自宅を訪れる訪問診療を求める報告書をまとめた。
病院と開業医の役割分担を明示することで、勤務医の過度な負担を軽減するとともに、在宅医療への移行をはかるのが狙いだ。今後、診療報酬の見直しなどを通じて実現を目指す。(asahi.com)

柳沢厚労相を本部長とする「医療構造改革推進本部」が報告書を作成。都道府県の担当者を集めた17日の会議で提示する。

報告書では、日本の医療の問題点として、大病院、中小の病院、開業医の役割分担が明確ではない結果、「拠点となる大病院などに外来患者が集中し、勤務医に過度の負担がかかっている」と指摘。大病院は「質の高い入院治療が24時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とする」と明記した。

また、中小の病院は軽い病気の入院治療や脳卒中などの回復期のリハビリテーションなどを担当することが妥当とした。

一方、「夜間や休日などの治療に不安がある」とする患者のニーズに対応するため、開業医の果たすべき役割として(1)休日夜間急患センターに交代で参加する(2)時間外でも携帯電話で連絡がとれる(3)午前中は外来、午後は往診・訪問診療という経営モデルをつくる、などを挙げた。

開業医はこれまで以上に広範な対応や知識が求められるため、開業医のチーム化や研修を充実させ、「看取りも含め24時間体制での連絡や相談機能を果たすことのできる体制を検討する必要がある」としている。

長期療養が必要なお年寄りについては、患者を継続的に診る「在宅主治医」の重要性に言及。患者自らが主治医を選び、医師間や病院との調整を担ってもらうことで、ケアの質を上げる。

こうした方向性に基づいて、厚労省は地域の医療計画を策定するよう、各都道府県に要請。開業医の訪問・夜間診察の診療報酬の引き上げや、総合的な医師の養成などに取り組む考えだ。

メタボリック症候群:12年度までに10%の削減目標

厚生労働省は、各都道府県に策定を求めるメタボリック(内臓脂肪)症候群該当者と平均入院日数の削減計画についての基本方針案をまとめた。
メタボリック症候群の該当者と予備軍を2012年度までに08年度比で10%以上減らすことなどを盛り込んだ。生活習慣病患者と平均入院日数を自治体単位で減らすことで、医療費の抑制を目指す。

同日開いた社会保障審議会で明らかにした。06年に決めた医療制度改革に基づくもので、都道府県が08年度から5カ年の計画を策定するための基準になる。メタボリック症候群を予防するために40―74歳が受診する新しい健康診断については、12年度時点で対象者の70%以上を受診させるよう求めた。(NIKKEI NET)

メタボリックシンドロームとは?
生活習慣病の代表格に肥満症、高血圧、糖尿病、高脂血症がある。 これらの疾患は肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因であるとされ、内臓脂肪によりさまざまな病気が引きおこされる状態をメタボリックシンドロームという。

高血圧、高脂血症、糖尿病などひとつひとつの症状は軽くても、複合すると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが急激に増大することから注目されている。
診断基準の必須項目としてウエスト径があり、男性85センチ以上、女性90センチ以上がメタボリックシンドローム診断のカギとなる。

療養病床の削減問題:15万超は存続 厚生労働省

慢性疾患を抱えるお年寄りが長期入院する療養病床を削減する問題で、厚生労働省は12日、各都道府県が存続させる療養病床数を決める基準となる考え方を示した。
2012年度時点での存続目標を各都道府県が今秋までに決め、それを積み上げて全国の目標数をつくる。
厚労省は38万床(05年秋時点)を15万床まで減らす計画だが、各地域の高齢者人口の伸びにより、削減後のベッド数は15万床を上回ることになりそうだ。

療養病床に入院する患者は、医療の必要度に応じて3段階に区分けされている。このうち比較的重度の患者を受け入れる療養病床は存続させ、軽度の患者分の療養病床は、介護保険の施設や回復期の患者向けのリハビリ病棟へと転換する。

厚労省の試算では、高齢者人口の伸びを考慮しなければ「15万床」まで削減できる。しかし、最新の人口推計によれば、75歳以上人口は06年の1216万人から12年には1526万人に急増。各都道府県はこうした状況も踏まえて目標値を決めるため、厚労省の計画よりも必要な病床数は増えることが確実だ。(asahi.com)

メモ
患者や家族の不安を受けて厚生労働省は削減目標を下方修正をしました。背景には今後5年間で75歳以上の高齢者が20%増える見通しとなったことや、退院患者の受け入れ先に想定している、老人保健施設など介護施設への転換を希望する医療機関が少ないこともあるとみられています。

タミフル服用に関しての小冊子作成へ:厚生労働省

インフルエンザ治療薬「タミフル」と転落など異常行動との関係を調べている厚生労働省は、タミフルを服用するかどうかを患者・家族自身が判断するためのリーフレットを作ることを決めた。医療機関に配り、医師が薬の効用や副作用を説明するとき、患者・家族に渡すことなどを考えている。

同省は3月下旬から10代へのタミフル使用を制限しているが、年齢にかかわらず慎重に考えてもらう必要があると判断した。今月中にも、医師や薬剤師、関係学会や患者団体のメンバーらを委員として、作成のための検討会をつくる。

内容は(1)インフルエンザは治療しなくても1週間ほどで治ることが多いが、乳幼児や高齢者、心臓病などの人は肺炎などを併発して悪化、死亡することもある(2)タミフルは発熱期間を1日短くする(3)予防にはインフルエンザワクチンが有効――などを想定。日本では世界の消費量の8割を占めるほどタミフルが多用されている。

亡夫の凍結精子で体外受精、出産:諏訪マタニティークリニック

諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長は11日、死亡した夫の凍結保存精子を使い、体外受精させる「死後生殖」を2例実施していたと公表した。1例は04年に出産したが、もう1例は妊娠しなかったという。
死後生殖について最高裁は06年、生まれた子どもと亡夫との親子関係を認めない判断を示している。日本産科婦人科学会も14日、死後生殖を禁じる指針を総会で了承する。

根津院長によると、1例目は西日本に住む当時30代の女性で、亡夫の母親と来院した。別の医療機関で不妊治療のため凍結しておいた精子を持参してもらい、03年に妻の卵子と体外受精させた。子どもは別の医療機関で出産したという。

根津院長は、夫が生前、死後生殖に同意していたことを実施の条件としているというが、02年のケースは「夫の同意は、状況から推定できる」と判断したという。もう1例はその後、別の女性に実施したが妊娠しなかった。

死後生殖をめぐっては、凍結精子を用いて生まれた子どもの認知を求める3件の訴訟で、最高裁は06年9月、いずれも請求を退けている。

根津院長が死後生殖の実施を公表したのは、日本産科婦人科学会が14日に京都市で開く総会で、死後生殖の禁止を指針に盛り込むことへの抗議という。「国民の選択肢を奪う学会の指針は理解できない。目の前の患者を救う気持ちがない」と根津院長は話している。

食物アレルギーの児童・生徒は約33万人:文部科学省

文部科学省は11日、全国の公立小中高校に通う全児童・生徒を対象に実施したアレルギーの実態調査の結果を公表した。
それによると、そばやピーナツでじんましんなどの症状が出る食物アレルギーの児童・生徒は約33万人に達し、1学級を40人とすると、各学級に平均1人いることになる。

また、ぜんそくの子供は1学級に同2・3人、アトピー性皮膚炎は同2・2人となる。児童・生徒の食物アレルギーの実態が明らかになるのは初めてで、同省は、給食メニューの工夫など具体的な対応を示したマニュアル作成などの対策に乗り出した。

調査は、「アレルギーの子供が増えている」という学校現場の声を受け、2004年12月〜05年2月にかけて実施。ぜんそくやアトピー性皮膚炎に関する抽出調査はこれまでも行ってきたが、全員調査や、食物アレルギーに関する調査はこれが初めてとなる。

それによると、食物アレルギーがあったのは32万9423人(全体の2・6%)。内訳は小学校19万4445人(2・8%)、中学校8万8074人(2・6%)、高校4万6878人(1・9%)など。
特定の食べ物などで呼吸困難などのアレルギー反応を引き起こし、命にかかわることもある「アナフィラキシーショック」を起こしたことのある子供も、1万8323人(0・14%)いた。

一方、ぜんそくの子供は73万466人(5・7%)、アトピー性皮膚炎は69万9086人(5・5%)だった。

調査によると、学校側は様々なアレルギー対策に取り組んでいる。給食を実施している小中学校のうち、食物アレルギーのある子供のため、給食で配慮をしていたのは80・9%に達した。

具体的な対応は、小学校では、「献立表に使用食品を表示」(67・1%)「アレルギーの原因となる材料を除いた同メニューで対応」(58・1%)「別メニューで対応」(20・8%)「弁当を持参させる」(24・5%)などだった。

ただ、アレルギー症状が起きた際の対応などについて、教職員が共通の認識を持っている学校は68・3%にとどまっており、文科省は「対応はまだ不十分。すべての学校で早く体制を整えて欲しい」としている。

ナノテクノロジー(超微細技術)でがん治療剤:富士フィルム

富士フイルムはフィルム製造で培ったナノテクノロジー(超微細技術)を活用し、抗がん剤の効き目を長くする塗り薬技術を開発した。動物実験で安全性を確認したうえで2年後に米国で臨床試験を始め、5年以内の実用化をめざす。
同社の医薬品参入の第一弾となる見通しで、医療検査用の画像システムや内視鏡などを中心にした医療事業分野を中核的な事業の柱の一つに育てていく方針だ。

塗り薬にはフィルムの主材料であるゼラチンを使う。遺伝子組み換えを使った微生物を活用して体になじみやすいゼラチンを作ることに成功、これをがん治療用に活用する。牛由来の一般的なゼラチンと異なり、牛海綿状脳症(BSE)など感染症の恐れがない。

ゼラチンを直径約100ナノ(ナノは10億分の1)メートルの微粒子にして抗がん剤を染み込ませる。肌に塗ると薬の成分が徐々にしみ出て効果が持続する。
点滴や注射を繰り返す必要がなく、体の表面に近い部位にできたがんの場合は患部に直接抗がん剤が届く。全身に抗がん剤が行き渡る注射治療に比べて副作用が軽くなる可能性があるという。

人の遺伝子を取り込んだ薬剤耐性エイズウイルス

人間の遺伝子を自分の遺伝子の中に取り込むことで複数の薬に対する耐性を得たエイズウイルスを、国立感染症研究所エイズ研究センターの武部豊博士らが発見し、日本感染症学会(京都市)で11日、報告する。

エイズウイルスは、遺伝子を自らめまぐるしく変化させて生き残りを図るが、人の遺伝子まで利用した例が確認されたのは初めて。

武部博士らは6年前、エイズウイルス増殖にかかわる酵素の遺伝子の中に、外部から遺伝子が入り込み、その酵素を標的にした複数の治療薬が効かなくなったウイルスを見つけた。だが、入り込んだ遺伝子の正体はわかっていなかった。

この遺伝子断片と人間の遺伝子を比較した結果、人間の17番染色体上にほぼ同じ配列を見つけた。両者は乗り移りやすい配列部分があり、エイズウイルスが人間の細胞中で増殖する過程で転移したらしい。

ウイルスが、感染相手の遺伝子を取り込み、その結果、新たな病原性を獲得するといった現象は、ラウス肉腫(にくしゅ)ウイルスなどで知られているが、エイズウイルスでは初めてという。

武部博士は「エイズウイルスの進化戦略には、こんな想像もつかない方法もあることがわかった」としている。

小児科と産科の病院統合に関する調査:8割が統合「必要」

厚生労働省は都道府県に対して小児科と産科の病院統合に関して調査し、10日に開いた地域医療支援中央会議で報告した。医師不足対策として複数の小児科病院を統合させることが「必要」と答えた都道府県(県内の医療圏含む)は24、「検討中」は18で、合計で8割強に達した。産科は統合が「必要」と「検討中」を合わせて8割弱だった。

小児科医や産科医は、地方の過疎地で不足が深刻になっている。複数の病院を集約して、地域医療の効率化を検討する都道府県が増えていることが浮き彫りになった。北海道や福島、山口県などは小児科・産科の両方で病院統合が「必要」と答えた。

厚労省は地方の医師不足を解消するため、同会議で学識者など10人前後の専門家を「地域医療アドバイザー」として都道府県に派遣することを明らかにした。医師を確保するための助言をする。
同会議は医師不足に悩む地方を支援するため、昨年末に1回目の準備会合が開かれた。今回が正式な初会合となる。

関連ニュース:医師不足対策に「地域医療アドバイザー」派遣へ:厚生労働省

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査用キット「ラピラン」

大塚製薬栄研化学は、大塚製薬が開発したヘリコバクター・ピロリ抗体検査用キット「ラピランH.ピロリ抗体」の国内での共同販売契約を締結、栄研化学が6月から健診市場を中心に発売する。

両社は2006年9月、業務提携に関する基本契約を締結。栄研化学が得意にしている臨床検査薬市場でシナジー(相乗)効果を発揮できる製品の共同販売などを検討。
今年2月、第一弾として尿試験紙「ウローペーパーV」の共同販売契約を結び25日から共同販売する。ラピランは第二弾。

ヘリコバクター・ピロリは、胃かいよう、十二指腸かいようの原因菌とされ、尿素呼気試験法や生検組織診断法、血清抗体検出法などで検出されている。

ラピランは、除菌前のピロリ菌感染を尿中の抗H.ピロリ抗体の有無で判定する診断薬で、患者の水滴の尿から約20分後に目視で判定できる。患者の負担が小さく、生検組織診断法とほぼ同等の判定結果が得られるという。

ヘリコバクター・ピロリ
ヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌である。ピロリ菌とも呼ばれることがある。
1983年 オーストラリアのロビン・ウォレン(J. Robin Warren)とバリー・マーシャル(Barry J. Marshall)により発見された。

胃の内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていたが、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。
このとき生じたアンモニアで、局所的に胃酸を中和することによって胃へ定着(感染)している。この菌の発見により動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされた。

ヘリコバクター・ピロリの感染は、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のみならず、胃癌やMALTリンパ腫などの発生につながることが報告されている。
細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因となりうることが明らかになっている唯一の病原体である。

スギ花粉入りの健康食品を注意喚起へ:厚生労働省

花粉症の人は、スギ花粉入りの食品に気をつけて――。厚生労働省は、スギ花粉症の人が口にすると、重いアレルギー症状を起こす心配がある健康食品が出回っているとして、注意喚起に乗り出すことになった。

きっかけは、今年2月、和歌山県内の40代女性がスギ花粉のカプセルを飲み、意識不明になる事故が起きたことから。

花粉症の治療に、スギ花粉エキスを少量ずつ注射し体を慣らす「減感作療法」という方法がある。業者は、この治療になぞらえてカプセルを販売したとみられるが、医師の指導のもとで行わなければショック状態に陥る可能性がある。カプセルは、医薬品でないのに、効能や効果をうたっていたため薬事法違反に問われ、現在は売られていない。

女性は、その後、回復したが、厚労省が調べたところ、このほかにもスギ花粉入りの清涼飲料水やあめ、タブレットなど少なくとも10種類の商品がネット上で販売されていることが分かった。

アレルギー患者が多い卵や小麦などを含む加工食品には、表示が義務づけられている。しかし、花粉入りの食品の販売は、厚労省にとっても予想外で、表示を義務化する根拠になる科学的データもない。また、いずれの食品も効果を明確にうたっておらず、規制できないのが実情だ。

このため、厚労省は「健康被害と食品の摂取の因果関係ははっきりしないが、安全のためには注意喚起が必要だ」と判断。医師や薬剤師らが出席する調査会を16日開き、スギ花粉の表示や注意書きを販売業者に指導するかどうかなどについて話し合う。

スギ花粉に悩む人は、国民の12%いるとされる。環境省によると、花粉の飛散は例年、5月上旬まで続くという。

勤務医の7割以上は週48時間以上労働:日本病院会

全国で働く勤務医の7割以上は、夜勤当直を除く1週間の勤務時間が、法定の40時間を大幅に超えて48時間以上に達していることが10日、社団法人日本病院会の調査で明らかになった。医療過誤の原因として「過労」と答えた医師も7割に上っている。
過労によるうつ病で自殺した小児科医(当時44歳)について先月、東京地裁で労災適用を認める判決が出たが、医療現場で広く同様の過酷な勤務実態があることを裏付ける内容。厚生労働省は医師不足への本格的な対策を迫られている。

調査は昨年7月、全国2535病院を対象に行い、5635人の勤務医から回答を得た。結果は10日夕、厚労省の「地域医療支援中央会議」で報告される。

1週間の勤務時間を聞いたところ、「48〜56時間未満」が26.1%(1469人)で最も多く、▽64時間以上=23.2%(1307人)▽56〜64時間未満=20.8%(1173人)と続く。週48時間以上働いている勤務医は計70.1%に達する一方、法定の「40時間未満」は4.1%(229人)にとどまっている。

「夜間当直をする」と答えたのは71.6%(4034人)。月の夜勤当直回数は、▽3〜4回=40.8%(1645人)▽5回以上=17.1%(688人)で、「2回以内」は41.9%(1692人)だった。
また、宿直勤務をした医師の88.7%が、「忙しさと無関係に翌日も通常勤務せざるを得ない」と答えた。勤務時間、当直回数は、年齢や病院の規模による差はなかった。

医療過誤の原因(複数回答可)については、「過剰勤務のために慢性的に疲労している」を挙げた人が71.3%(4015人)を占めた。医師不足の要因(同)についても、「過酷な労働環境」と答えた人が61.0%(3435人)で最も多かった。

がん予防成分「グルコシノレート」の合成システムを解明

ブロッコリーなどの野菜に含まれるがん予防成分を作るのに欠かせない遺伝子を、理化学研究所などの研究グループが発見した。この成分を増やした野菜や錠剤の開発につながるという。9日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。

ブロッコリー、キャベツ、大根などアブラナ科の野菜には、アミノ酸から作られる「グルコシノレート」と呼ばれる成分が含まれ、かむことで辛み成分に変化する。この辛み成分は発がん物質の解毒を促進する作用があり、アブラナ科の野菜にがん予防効果があることが知られているが、グルコシノレートがどのようにできるか解明されていなかった。

研究グループは、グルコシノレートの合成にかかわる遺伝子を探すため、アブラナ科の仲間で遺伝情報の解読が完了しているシロイヌナズナの約2万7000個の遺伝子を解析し、「PMG1」という遺伝子を見つけた。
シロイヌナズナの遺伝子を操作してPMG1の働きを抑えたところ、グルコシノレートの量が最大で400分の1程度に減少した。
また、シロイヌナズナの培養細胞でPMG1の働きを強めると、グルコシノレートが蓄積することも分かり、PMG1が合成に欠かせないと結論づけた。

理研の平井優美リーダーは「グルコシノレート合成の仕組みは他のアブラナ科植物にも広くあてはまる可能性が高い。PMG1を使ってグルコシノレートの量を増やしたがん予防効果の高い食品開発にもつながる」と話している。

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。