タンパク質「サイクロフィリンA」ががん細胞の成長に関与

抗がん剤の耐性を減らす手がかりが韓国の研究チームにより確認された。慶熙大学医学部分子生物学教室のキム・ソンス、チェ・ウォンジェ教授チームは、「サイクロフィリンA」というタンパク質を抑制することで、「シスプラチン」という抗がん剤に対する耐性が減り、がん治療効果を高められる事実を細胞実験を通じ究明したと明らかにした。

サイクロフィリンAは、サイクロスポリンAという免疫抑制剤と結合し、免疫を抑制するタンパク質。研究チームは、このサイクロフィリンAががん細胞の成長に大きな役割を果たすだけでなく、治療のために投与する抗がん剤の耐性発生にも関与し、がん治療を困難にしていることを確認した。
サイクロフィリンAの量を減らすか活動性を落とせば、がん細胞の成長を抑制することができるという。
ただ、この研究結果は細胞実験で得られたもので動物実験に入る前の初期段階であることから、研究チームは人体に適用する臨床実験を行うためにはさらに研究を重ねる必要があるとしている。

今回の研究結果は、米国のがん専門誌「キャンサー・リサーチ」最新号に掲載された。

シスプラチンについて
シスプラチンは白金錯体に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)。シスプラチンの「シス」は、立体化学の用語のシスに由来する。
商品名は、ブリプラチン(ブリストル・マイヤーズ)、ランダ(日本化薬)など。

免疫抑制剤「アドバグラフ」の販売承認を取得:アステラス製薬

アステラス製薬は欧州委員会から、臓器移植の際に用いる免疫抑制剤「アドバグラフ」(一般名タクロリムス)の販売承認を取得したことを発表した。欧州子会社は6月に英国・ドイツで販売を開始し、その後順次、発売国を拡大していく予定という。

販売承認の適応症は以下のようになっている

  1. 新規腎移植と新規肝移植をした成人患者の拒絶反応の予防
  2. 他の免疫抑制剤で治療できない成人患者のさまざまな臓器の拒絶反応の治療

「アドバグラフ」は、アステラス製薬が創製した免疫抑制剤「プログラフ」の有効成分であるタクロリムスを含有する1 日1 回投与の徐放性製剤。
「プログラフ」は現在、臓器移植における拒絶反応抑制剤として世界70ヶ国以上で発売されているが、今回、承認取得した「アドバグラフ」は、1 日2 回の既存製剤よりも服用回数を減少させることで、患者のコンプライアンスの向上が図られ、長期にわたる移植臓器の保護効果が期待されている。

はしか(麻疹)が流行の兆し:国立感染症研究所

2004年ごろから激減していたはしかが、関東で流行の兆しをみせている。国立感染症研究所が2日公表した定点調査でわかった。
過去の流行に比べて、10〜20歳代の発病者が多い。ゴールデンウイークの行楽客によって感染がさらに広がる可能性もあるため、同研究所は注意を呼びかけている。

同研究所が全国約450の基幹病院を対象に行っている定点調査によると、報告があった15歳以上の患者数は先月16日から1週間で39人に上り、01年の大流行時に記録した1週間あたり54人に迫りつつある。
東京都立高3校が、はしかの集団発生で臨時休校となったほか、創価大(東京都八王子市)も今月6日まで全授業を休講にした。愛知県や大阪府など他の大都市圏でも患者が増えている。

はしかは、くしゃみやせきによる飛まつ、接触による感染のほか、空気感染も起き、感染力が極めて強い。1歳児に対するワクチン接種の普及などにより患者の総数は減少していたが、その一方で、病原体に触れて免疫が高まる機会が少なくなったことなどが原因となり、感染が拡大したとみられる。はしかの流行は、春から初夏にかけてが最盛期となる。
同研究所は「はしかにかかったことがなくワクチンも接種していない人は、早めにワクチンを接種してほしい」と呼びかけている。(Yahoo!ニュース)

はしか(麻疹)とは?
発熱・発疹・咳を主症状とする急性の感染症で、39〜40度の高熱が続く重い病気です。うつる力も強く注意が必要です。

疫学:麻疹ウイルスで潜伏期は約11日。飛沫感染します。予防接種を受けていない子が麻疹の子と接触した場合、3〜4日以内にガンマグロブリンの注射をうければ発病を防ぐ(または軽症化する)ことができます。

症状:はじめ熱・咳・鼻水・目やになど通常の風邪と同じ症状が出ます。この時期には麻疹と診断する事はできません。4日目位に一度熱が下がりますが、半日から1日後に高熱とともに発疹がでます。発疹はほぼ円形の紅い斑点で5mmくらい。顔からはじまり全身へと広がっていきます。かゆみはありません。約5日くらいで熱もさがり、発疹も消えてきます。

鳥インフルエンザに新ワクチン:弱毒性ウイルスを組み合わせ

北海道大学滋賀医科大学の研究グループは、世界中に広がる、強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に対する新しいワクチンを作り、サルで効果を確認した。

強毒性のウイルスを用いず、弱毒性のウイルスを組み合わせて作ったもので、この手法を使えば、鳥インフルエンザが変異して出現する新型インフルエンザ予防ワクチンの迅速な開発につながると期待される。

強毒性ウイルスは、ワクチン開発のため培養に使う受精卵を殺したり、人に感染したりすることがあり、それがワクチン製造のネックとなっている。

喜田宏・北大教授らは、二つの弱毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N2型、H7N1型)を、鶏の受精卵の中で増やした。遺伝子の混ざり合いが起こるが、その中から弱毒性のH5N1型のウイルスを取り出し、感染力を失わせた上で、ワクチンを作った。

このワクチンをカニクイザル6頭に投与した後で、ベトナムで人に感染したH5N1型のウイルスを感染させたところ、症状は出なかった。一方、ワクチンを投与していない6頭のサルでは、発熱や肺炎を起こすことを確認した。

既に人工的な遺伝子組み換えの手法で作られたH5N1型ワクチンは、国が承認に向け審査中。

喜田教授は、「この手法でH5N1型を含めて134種類のウイルスを確保しており、新型の発生に迅速に対応できる」と語る。(YOMIURI ONLINE)

鳥インフルエンザとは?
鳥類がA型インフルエンザウイルスに感染して起こる病気です。A型インフルエンザウイルスに感染して発病する鳥類は、鶏や七面鳥等の家きんが主で、野鳥での発病は希です。
鳥類に感染するA型インフルエンザウイルスを総称して鳥インフルエンザウイルスといいます。

家畜伝染病予防法では「鳥インフルエンザ」は、インフルエンザウイルス感染による家きん(鶏、あひる、うずら、七面鳥)の病気のうち、高病原性鳥インフルエンザでないものを指します。
つまり、H5あるいはH7亜型以外の弱毒な鳥インフルエンザウイルス感染による家きんの病気と言えます。

喫煙習慣のある糖尿病患者、糖尿病腎症のリスクが2倍に

たばこを吸う糖尿病患者は、喫煙しない患者に比べ、人工透析の原因になる糖尿病腎症の危険性が約2倍に高まることが、お茶の水女子大学の研究グループの調査でわかった。1日発行の米国糖尿病学会誌に発表される。

同大生活習慣病医科学講座の斎藤和美研究員と曽根博仁准教授(代謝内分泌内科)らが、生活習慣が関係するとされる2型糖尿病の男性患者357人を、茨城県の診療所で3〜7年にわたって調べた。

106人が腎症を発症したが、喫煙している患者では179人中60人が発症したのに対し、喫煙経験のない患者では104人中23人だった。過去に喫煙経験があって禁煙した患者では74人中23人が発症した。

年齢や食生活などの要因を排除して解析した結果、たばこを吸っている患者が腎症を発症する危険率は、全く吸わない患者の2・1倍になった。すでにやめた患者でも1・9倍だった。1日の喫煙本数が1本増えるごとに危険率は2%上昇。喫煙年数も、1年増すごとに危険率が2%上昇した。(YOMIURI ONLINE)

糖尿病腎症とは?
糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症のひとつです。 糖尿病にかかって10年以上経過している人で、糖尿病のコントロールが悪く、高血糖状態が長い間続いていると、腎臓の糸球体の毛細血管に障害が起きてきます。
そのため腎機能が低下して、尿の中にたんぱくが出てきたり、高血圧やむくみなど腎炎と似た症状が起こります。進行すると、腎不全から尿毒症となり透析が必要になります。

糖尿病腎症の原因
腎臓の中にある糸球体は、血液中の老廃物を尿中に排泄するろ過器の働きをしています。糖尿病で高血糖状態が続くと、糸球体を構成している細かい血管が動脈硬化を起こして固くなり、糸球体の組織の目が粗くなって、ろ過機能が低下します。
するとたんぱく質が糸球体の網の目を通り抜けてたんぱく尿が出たり、尿をつくる働きが低下して老廃物が排泄されなくなり体内にたまる糖尿病腎症になります。

マゴットセラピーが難治性潰瘍患者に高い効果

糖尿病などで足が壊死する「難治性潰瘍」で切断しか治療法のない患者に、岡山大の三井秀也講師(心臓血管外科)が「マゴット(ハエ幼虫)セラピー」という治療法を行ったところ、9割の患者が足を切断せずにすむなど高い効果が認められていることが30日、分かった。

日本では壊死による足切断は3000例を超えるとされる。三井講師は秋にも医師主導臨床試験に取り組む予定。英国では保険医療が認められ、年間数百人が治療を受けている。

マゴットセラピーは、壊死した皮膚にハエの幼虫をガーゼとともに固定して行う。幼虫が腐敗した部分を食べ傷をきれいにするとともに、幼虫の唾液(だえき)に含まれる物質が微生物を殺す役目を果たし、傷の回復を早める。週に2回ほどガーゼを取り換え、2〜3週間で効果があらわれる。

三井講師はオーストラリア留学中にこの治療法を知り、平成16年に糖尿病などの合併症で足切断しか治療法のない60代の女性に日本で初めて実施。潰瘍が1週間で半分の大きさになり、患者の痛みも軽減したという。傷が完治したこの女性は3カ月で退院。切断をまぬがれた足で歩行に努めたためか、その後の糖尿病のコントロールも良好だという。

マゴットセラピーはこれまで国内27カ所で約100例が行われ、このうち三井講師は66例を手がけた。患者はいずれも他の医療機関で「即足切断か足切断の可能性あり」と診断されたが、治療の結果、58例で傷が完治し、足切断せずにすんだという。

治療に使うのはヒロズキンバエの幼虫。当初はオーストラリアから輸入していたため完治まで約30万円かかったが、現在は自前で育てたものを使うため費用は12〜18万円ですむようになった。それでも保険適用される足の切断手術(1カ月の入院で自己負担約8万円)に比べると、患者の金銭的負担が大きい。

三井講師は「自分で歩くことができれば、糖尿病もコントロールしやすくなり、医療費削減につながる。全国どこの病院でも治療を受けられるようにして、1人でも多く足切断から救いたい」と話している。(産経新聞)

マゴットセラピー(マゴット療法)を実施している病院

メモ
「この幼虫(無菌状態で無ければ医療用には使えません)はどこから入手するのか?」と思い検索してみたところ、この治療法に着目して、医療機関にヒロズキンバエの幼虫を専門に販売しているバイオベンチャーもあるようです。
ただ、血流のいい糖尿病性壊疽の患者は治りやすく、閉塞性動脈硬化症のように血流が悪いと、この治療法での完治は難しいとのこと。

炎症反応を抑制するたんぱく質「PDLIM2」:理研がシステム解明

花粉症やリウマチなどアレルギー疾患につながる炎症反応の暴走に対し、体内の特殊なたんぱく質が“ブレーキ”の役割を担うことを、理化学研究所のチームが突き止めた。

アレルギーの仕組みの解明や新薬開発につながる可能性がある。成果は30日付の米科学誌「ネイチャー・イムノロジー」電子版に掲載される。

炎症反応は、ウイルスや細菌など体内に侵入した異物を排除する免疫の働き。だが、炎症反応がうまく制御されないと、アレルギー疾患につながる。

研究チームは、異物を認識して他の細胞に情報を伝える「樹状細胞」という免疫細胞で、炎症反応に必要な遺伝子のスイッチを入れる分子に着目。炎症反応が終わる際には、この分子が細胞核の中の「分解工場」のような領域で処理されていることを発見した。さらに、この分子を分解工場に運ぶ役割を果たしているのが、「PDLIM2」と呼ばれるたんぱく質であることを、初めて突き止めた。

PDLIM2が働かないマウスで炎症反応を起こしたところ、死亡率は正常なマウスに比べて約2倍に高まり、過剰な炎症反応が起きていることを確認した。(asahi.com)

樹状細胞とは?
病原体やがん細胞などの異物を認識し、その情報をリンパ球に伝えて攻撃を指令する免疫細胞。細胞膜が樹枝状に突き出した形をしているため、この名前が付いた。
がん細胞から抽出したたんぱく質などを目印として付け、がんを退治する免疫療法の研究にも使われている。

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